EA開発の新常識
はるちゃん、バックテストを評価してくれる?
目次
- 前回までのあらまし
- 今回取り上げる課題とテーマ
- はるちゃんに訊く
- バックテスト結果の分析
- 今回のまとめと次回予告
1. 前回までのあらまし
前回は、EA開発の基礎としてエントリー条件やインジケーターの選定、ナンピン・マーチンの不使用方針について議論しました。さらに、ドル円5分足(USDJPY M5)を基本設定として、シンプルな戦略で利益を出す可能性を探る方針を決定しました。
📋 バックテストの前提条件:
- 通貨ペア: ドル円(USDJPY)
- 時間足: 5分、15分、30分、1時間、4時間
- スプレッド: 15ポイント固定
- テイクプロフィット(TP) & ストップロス(SL): (25・50・100)
- インジケーターパラメータ: MA、RSI(30・50・70)、ATR(0.05,0.07)
- バックテスト期間: 2010年1月1日〜2020年12月31日
- モデル: 始値のみでの簡易モデル
2. 今回取り上げる課題とテーマ
今回は、実際にバックテスト(BT)を行い、その結果を分析します。以下の点に注目しました:
- 全体の利益傾向と安定性
- プロフィットファクター(PF)と期待利得の評価
- 最高利益および最高PFのケースの特定と分析
この分析を通じて、EAが現状どの程度のパフォーマンスを発揮できているのか、またどの部分に課題があるのかを明確化することが目的です。特に、利益の安定性やリスク管理の観点から、実際の運用で信頼できるかどうかを評価していきます。また、異なる時間足やパラメータ設定がパフォーマンスに与える影響についても検討し、今後の改善ポイントを洗い出します。
3. はるちゃんに訊く
おじさん:
これは前回のログで言及したEAのBT。このBTを見て評価・分析してくれ。まぁ、正直あんまりいい結果は期待してないけど、何か光るものがあれば拾っておきたいところだな。
はるちゃん:
了解です!どれどれ……結果を確認してみましょう!
はるちゃん:
ふむふむ……全体のパフォーマンスは予想通り厳しいですね。平均利益がマイナスで、PFも1を下回るケースが多いです。ただ、いくつかのケースでは利益が出ているようです。
おじさん:
やっぱりか。でも、それは想定内。今回はむしろ、この悪い結果の中から何か見えるパターンがあれば十分だ。特に、どの条件でパフォーマンスがマシになるのか知りたいんだ。
はるちゃん:
そうですね。特にM30の時間足で安定した成績が目立ちます。この辺りは改善のヒントになりそうですよ。ATRはすでに搭載されているので、トレンド判断はある程度できていますが、もう少しエントリー条件を工夫する余地はありそうです。
おじさん:
M30か……普段は5分足に注目しがちだったけど、30分足の方がノイズが少なくてトレンドがきれいに出るのかもな。ATRの設定は悪くないと思うけど、組み合わせ次第でまだ伸ばせそうだ。
はるちゃん:
その通りです。利益が出ているケースでもPFが1.3程度で、まだ不十分です。改善の余地は大きいですね。それに、今回の結果を踏まえて、他の通貨ペアでも同じ条件でテストするのも良いかもしれません。再現性の確認ができますし。
おじさん:
ああ、それはいい考えだ。同じロジックで通貨ペアを変えても結果が安定するなら、EAとしての信頼性がぐっと上がる。ユーロドルやポンドドルあたりで試してみようか。
はるちゃん:
了解です!その前に、今回のデータをもう少し掘り下げて、どの部分がボトルネックになっているか確認してみますね。
おじさん:
頼んだ!それが終わったら、次は改善案を考えていこう。まぁ、悪い結果でも焦る必要はないさ。地道に検証していけば、きっと良いEAが作れる。
はるちゃん:
その意気です!次回も楽しみにしています!
4. バックテスト結果の分析
📊 基本統計:
指標 | 値 |
---|---|
平均利益 | -1276.79 |
最大利益 | 1,361.81(ケース番号176、M30) |
最小利益 | -6,588.74(最も悪いケース) |
プロフィットファクター(PF) | 平均0.88(最大1.34) |
期待利得 | 平均 -2.58(最大6.39) |
標準偏差(利益のばらつき) | 1,493.35 |
勝率 | 平均45.3%(最高58.7%) |
最大ドローダウン | -4,523.67 |
✅ 時間足別の成績:
時間足 | 特徴・成績 |
---|---|
M30(30分足) | 最も安定した成績。利益、PFともにトップクラス。 |
M5(5分足) | トレード数が多いが、ノイズによる損失も多い。 |
H4(4時間足) | ドローダウンが少なく安定感はあるが、利益は限定的。 |
✅ トップ成績の特徴:
- 安定性: M30とH1でPFが高く、ドローダウンが少ない。
- トレンド相場での強さ: ATRによるトレンド判断が機能しているケース。
- エントリーの精度: RSIとMAの組み合わせが有効な場面もあり。
⚠️ 課題点:
- PFが1.5未満: 安定した収益性には不十分。
- ドローダウンの大きさ: 特にM5で深刻な損失が発生。
- 再現性の確認不足: 通貨ペアや異なる相場環境での検証が必要。
5. 今回のまとめと次回予告
今回の学び:
今回のバックテストを通じて、EAの現状は実用レベルには達しておらず、特に安定性と再現性に課題があることが明確になりました。ただし、M30やH1などの特定の時間足で一定の安定性が確認できたことは、今後の改善に向けた貴重な手がかりとなります。
また、ATRによるトレンド判定が一定の効果を発揮していることも確認できましたが、エントリーおよびエグジット条件の精度をさらに向上させる必要があります。
次回の課題:
次回は、今回のロジックを基にして異なる通貨ペア(ユーロドル、ポンドドルなど)でのバックテストを実施します。同じ条件での再現性を確認することで、EAの汎用性と信頼性を検証することが目的です。
🚀 改善案:
- エントリー条件の再設計: トレンドフィルターの精度向上と複数インジケーターの組み合わせを再検討。
- リスク管理の強化: 動的ロット管理の導入や、トレーリングストップを活用して損失を最小限に抑える。
- マルチタイムフレーム分析: 上位時間足のトレンドと下位時間足のエントリーシグナルの組み合わせを活用。
- 通貨ペアの拡張: USDJPY以外の主要通貨ペアでのパフォーマンス検証。
添付ファイル: バックテスト結果ファイルを併せてご確認ください。
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